クライアントの本番環境に反映するときは、プラグイン『All-in-One WP Migration』を使うのが便利で簡単です。
データベースを移行した後にFTPでテーマファイルを移行する…というような手間のかかる工程を省き、一括で簡単にインポートすることが可能です。
ただケースによっては『こんなはずじゃなかった…』というトラブルになってしまう可能性も。
この記事ではプラグイン『All-in-One WP Migration』でサイト移行を行うことで起こる結果や注意点などについて紹介していきます。
『All-in-One WP Migration』で移行を行うとどうなるのか?
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- 移行元の投稿・固定ページは全て消える
- メディアファイルは全て消える
- ユーザー名&パスワードは全て消える
- URL情報も全て書き換えられる
- 差分があるプラグインは『無効化』される
- テーマは差分を上書き
データベース内に含まれるURL情報も全て移行先の情報に書き換えられます。
非常に強力な変換なので注意も必要ですが、適切なケースで利用することができればかなり時間を短縮できます。
ちなみに手動でテスト環境をサーバー移管する場合は、別途ツールを使ってURL情報を置換しなければならず専門的な知識が必要な上に時間もかかります。
移行先のプラグイン設定状況が引き継がれるため、プラグイン自体は消えませんが有効化が外され無効化されます。
テーマについては以下のように書き換えが行われます。
・既に同じ名前のテーマが存在している場合
差分を上書きする
・移管元サイトに無いテーマがある場合
新たにテーマを追加する
『All-in-One WP Migration』でサイトを移行する前の注意点
とても便利な『All-in-One WP Migration』ですが、強力な機能ゆえ使用する際にはいくつかのことに注意が必要です。
下記の条件を満たしているか、移行前にチェックするようにしましょう。
①投稿やユーザーなどの情報は更新されていないか
旧HPのリニューアルなどの場合、移行前にクライアントが新しい投稿やユーザーを生成していることで、移行元の最新状態と差分があるケースがあります。
その状態で移行を行なってしまうと移行元の情報で上書きされてしまうため、新しく投稿していた記事などは全て消えてしまいます。
移行前にクライアント側で作業を行なっていないかしっかり確認することに注意してください。
もしクライアントが情報を更新していた場合は、新たに更新されたコンテンツを移行元のサイトへ手動でコピーするようにしましょう。
②移行先のWordPress・PHPのバージョンを揃えておく
移行元と移行先のWordPressとPHPのバージョンが違う場合、『All-in-One WP Migration』によるインポートが上手くいかないことがあります。
移行作業を安全に行うため、以下の手順を守るようにしましょう。
①移行元のWordPressとPHPのバージョンを最新にしてからエクスポート
②移行先のWordPressとPHPのバージョンを最新にしてからインポート
③移行先のバックアップを保存しておく
『All-in-One WP Migration』を使って移行すると、テーマやデータベース情報などを書き換られます。
後から移行前の状態に戻したくなることも考えられるので、必ず移行元のバックアップをとっておくようにしましょう。
バックアップの取得だけではなく、取得したバックアップデータで実際にサイトを復元できるか試しておくとより安全です。
④『SiteGuard WP Plugin』は無効化しておく
セキュリティ対策プラグイン『SiteGuard WP Plugin』を有効化していると、『All-in-One WP Migration』の移管作業に干渉する可能性があります。
実際にぼくも上記プラグインを有効化した状態で移管作業を行なった際、不完全な状態でインポート・エクスポートが行われたことがありました。
もし『SiteGuard WP Plugin』を導入している場合は、『All-in-One WP Migration』移行前後では無効化した状態にしておくようにしましょう。
⑤エクスポートの際に『.wpress』ファイルが生成されることに注意する
『All-in-One WP Migration』でエクスポートすると 移行元のテーマ内に『.wpress』形式のファイルが生成されます。
これは『All-in-One WP Migration』でエクスポートした際、自動的に生成されるバックアップファイルです。
『wp-content』内の『ai1wm-backups』というフォルダを見ると、下記のようにエクスポートする度にたくさんのバックアップデータが生成されていることがわかります。
エクスポートしたデータ内には含まれないため移行先への影響は心配ありませんがサーバーの容量を圧迫するので、後述するようにエクスポートした瞬間にサーバーがダウンする可能性もあります。
頻繁にテスト環境をエクスポートしていたりあまりスペックの高くないサーバーを使用していたりする場合には、バックアップファイルを定期的に削除するようにしておきましょう。
『All-in-One WP Migration』で移行できなかった時の体験談
①移管先サーバーに、WordPress・PHPのバージョン制限があった
サーバー移管を行う際に、クライアントから指定されたサーバー環境のPHPなどが古すぎてテスト環境のデータを移行できなかったことがありました。
結局クライアントに別サーバーを契約してもらうことで問題なく移管できましたが、予定していた移管日に作業することができませんでした。
案件を受注した際には、早い段階でクライアントからサーバーの指定があるか確認しておくことが必要です。
②エクスポートした際にサーバーがダウンした
上述したようにエクスポートする度に、バックアップファイルが生成されるため定期的に削除しなければそれなりの容量を食ってしまいます。
そうとも知らずローカル環境を構築するために本番環境をエクスポートしようとしたところ、突然本番環境のサーバーがダウン…
原因はこれまで蓄積されたバックアップファイルの容量による影響でした。
③テスト環境の状態が反映されていなかった