【現役Web制作会社ディレクターが教える】Web制作会社から継続的に案件を受注する営業法

私は未経験からWeb制作のフリーランスとして独立し、現在はWeb制作会社のディレクターとして働いています。

フリーランス駆け出しの時期って本当につらいですよね…。

ぼくもフリーランス1ヶ月目のときは、休みなく働いても1ヶ月の収益が5,000円だったので気持ちは本当によく分かります。

そんな毎日で生きていくのもやっとの状態でしたが、Web制作会社に営業をかけ案件を継続的にもらうようになってから収益が安定するようになりました。

今は、そのときに業務委託として関わっていたWeb制作会社のディレクターとして働いています。

本記事では現役のWeb制作会社ディレクターである僕が、元フリーランスの経験も踏まえながら、Web制作会社に営業するときのポイントや方法について解説していきます。

目次

Web制作会社と仕事をするメリット

①収入が安定する

制作会社と仕事ができると、収入が安定します。

継続的に案件を紹介してもらえるので報酬の発生しない営業をする必要がなくなり、実案件に集中できるようになるからです。

また収入が安定していない時は、条件の悪い案件でも引き受けたくなり、短納期の案件や悪質なクライアントで消耗する可能性が高いです。

収益の安定は、条件が厳しい案件を『断れる』ことにもつながります。

②クライアントとのコミュニケーションで消耗しない

制作会社と仕事ができると、クライアントとのコミュニケーションがありません。

クライアント間の情報共有は全て制作会社側がやってくれるからです。

実案件の経験が浅いフリーランス駆け出しの時期は、コーディングだけでもかなりの時間をとられます。

そこにクライアントとのコミュニケーションまで入ってくるのは、正直いって辛いです。

案件にもよりますが、コーディングだけ・デザインだけという内容が多くひとつの作業に集中できます。

ひとつひとつ確実に覚えていく方が負担も少ない上に、圧倒的にトラブルになりにくいです。

まずは制作会社から仕事を振ってもらいながら、実案件レベルのコーディングができるレベルをめざしましょう。

③学べる環境がありスキルが増える

制作会社と仕事ができると、スキルが増えます。

実践的なアウトプットができる実案件と、プロ目線のフィードバックが受けられる環境があるからです。

  1. 最低限のインプットだけ終わらせて、後のところは案件をとりながら学習していく
  2. 不安がなくなるまで徹底的にインプットした後で、制作会社に営業をかける

効率よく成長できるのは圧倒的に①です。

②は『実案件で必要な知識で何が不足しているのか?』ということが分からない状態で、必要ない範囲の知識までインプットしようとしてしまい遠回りになることも。

また制作会社からフィードバックを受けながら納品できる品質レベルまで完成度を高めるなかで、スキルもどんどん増えていきます。

1人で案件をこなすよりも、効率的かつ爆速で成長できます。

Web制作会社への営業はオワコンではない

少し前にフリーランスの間で、Web制作会社への営業が流行したときがありました。

『もうポジションが空いていないのでは?』『今さらWeb制作会社に営業しても遅いのではないか?』と思っている方もいるのではないでしょうか?

Web制作会社に勤めている立場からすると、全然そんなことはありません。頼みたい案件は常にあるので、優秀なフリーランスがいればいつでも確保しておきたいというのが社内の総意です。

Web制作会社は常に人手を求めている、ということを知っておいてください。

潜在的な需要はまちがいなくあるので、正しいやり方で行動を起こせば結果はついてくるはずです。

ありがちなフリーランスの営業例

ぼくはフリーランスとして制作会社に営業したこともありますし、今は逆にフリーランスからの営業メールを確認することもあります。

営業する側もされる側も経験した立場から、フリーランスにありがちなダメな営業文の例を紹介します。

①ポートフォリオや制作実績がない

ポートフォリオや制作実績がない営業メールもありがちです。

ポートフォリオや制作実績がないとスキルを見ることができないので、返信の対象になりません。

このような方は以下のような勘違いをしていることがほとんど。

  • オシャレなポートフォリオサイトでなければいけない
  • 実際に案件として制作した実績でなければいけない

決してキレイなポートフォリオサイトや実案件の実績は必要ありません。

『最低限のコーディングは問題ない』とさえ思ってもらえれば十分です。

ポートフォリオサイトや実績がなければ、練習で作成したサイトをドメイン環境下で共有するだけでOKです。

②『できる』ことしかアピールしていない

『できる』ことしかアピールしていない営業メールもありがちです。

具体例
  • 『コーディングができる』
  • 『SEO対策ができる』
  • 『プロジェクトの円滑な進捗ができる』

制作会社からしたらできることは当たり前なので、書いても効果はありません。

ただ『本当にできるのか?任せてよいのか?』という不安はあるので、その不安に寄り添った提案文であれば差別化できます。

③返信の労力がかかる

営業メールを送るとき、『返信お待ちしています』などの文章で終わっていないでしょうか?

こういった営業メールの終わり方は、返信する側からするとけっこう面倒。

営業に返信する側には、『できるだけ楽をしたい』という欲求があります。

  • メールのラリーはできるだけ少なくしたい(希望は1〜2回)
  • メールの文面をなるべく考えたく無い(めんどくさい)

たとえばお問い合わせフォームなどは、入力項目数を減らすほど、記述欄ではなく選択項目を増やすほど離脱率が低くなることが分かっています。

メールの返信も同じで相手のメールにかかる労力を減らすだけで、返信率は上がります。

他のフリーランスと差別化するポイント

働いているWeb制作会社の代表アドレスには、フリーランスからの営業が毎日のように届きます。

その中で目に留まるためには、他のフリーランスとはちがうポイントで差別化することが必要。

ディレクター目線だと、以下のような点が考えられます。

②品質&タスク管理を視覚的に証明

Web制作企業がフリーランスに発注するときは、『ちゃんとデザイン通りのものが納品されるだろうか』『直前で飛ばれたりしないだろうか』という不安があります。

こういった不安に対してアピールできると良いのですが、他のフリーランスもアピールしている部分なので工夫が必要。

『品質・タスク管理を徹底します!』と文章で送るだけではなく、実際に品質とスケジュールを管理しているシートなどを共有できれば、他の応募者と圧倒的に差別化できます。

③画像編集・軽量化にも対応する

コーダーの作業は、基本的にデザインデータをコーディングできればOKです。

しかしデザイン通りに作られていてもサイトが重く読み込みに時間がかかる場合、クライアントの満足度低下につながります。

サイトスピードに大きく影響するのは、画像の容量です。大きい画像が多ければ多いほど、サイトスピードは遅くなります。

画像軽量化は決して難しい作業ではありませんが、自分でやるのは面倒な作業です。なのでそこまで配慮してくれるフリーランスは、とても貴重な存在。

ちなみに今まで20人ほどのフリーランスに外注してきましたが、何も言わずとも画像軽量化までしてくれる方はいませんでした。

④公開作業も対応できる

制作したサイトは最終的にサーバーに移行して公開しなければなりません。制作会社によって違うと思いますが、私の会社ではディレクターが行なっています。

確認事項も多いため、公開まで請け負ってくれると非常に助かります。

公開作業は、新規サイトかリニューアルかで大きく難易度が変わります。

リニューアルは少し手順が複雑になりますが、一度経験すれば流れはつかめるはず。

『経験がある』ことも大きなポイントになるので、個人利用しているサーバーで練習してみるのがオススメです。

⑤Githubも使用できる

制作会社はチーム開発やバックアップのため、WebサイトのソースコードをGithubで管理しているケースが多いです。

Gitには様々なコマンドがありますが、全てを覚える必要はありません。

基本的なことだけで対応できるはずなので、動画教材で理解するのが一番早いはずです。

STEP1:営業前に行う準備

①ポートフォリオを作成する

営業前には、ポートフォリオを作成しましょう。

実際の案件があれば一番良いですが、なければ練習で作成したサイトでも構いません。制作会社としては、機能の少ない実案件よりも、機能が多い練習サイトの方が評価しやすいです。

具体的には以下のような機能が盛り込まれていると、いろいろな案件を頼みやすいです。

  • スライダー
  • TOPページに投稿を呼び出し
  • カスタム投稿機能
  • メールフォーム

安いもので良いのでサーバーを取得して実際に公開し、ドメインをメールに記載できるようにしましょう。

ロリポップが一番コスパが良いのでおすすめです。

なお、ポートフォリオサイトは無ければ作る必要はありません

②営業リストを作る

まず最優先で営業をかけるべきなのは、『地元の企業』です。

なぜなら『近くに住んでいる』というのは、それだけで信頼感の獲得や他フリーランスとの差別化につながるからです。

探し方は『住んでいる都道府県+Web制作会社』でググってヒットした企業でOK。

都市部ではない地方であるほどライバルが少なく、パートナーとして選ばれる可能性も高まるでしょう。

STEP2:実際に営業する

①窓口を変えてみる

会社の代表アドレスだけでなく、窓口を変えてコンタクトをとるのがおすすめです。

代表アドレスだけだと、連絡しても他のメールに埋もれてしまう可能性が高いからです。

どんなに魅力的な営業文でも、目に入らなければ何の意味もありません。

求人サイトに情報を掲載している制作企業は人材が足りていない場合が多く、メールを読んでもらえれば返信がもらえる可能性が高くなるでしょう。

よく聞かれる質問

営業メールに制作会社から反応があった場合は、そのあと面談を行いスキルや条件をすり合わせます。

実際にぼくが面談時によく聞かれた質問と回答例について紹介します。

稼働時間はどれくらい取れる?

『週4日で1日8時間』など、無理のない範囲で正直に答えてOKです。

逆に『毎日12時間稼働できます』など無理な設定は、信頼感を損なう可能性もあり逆効果です。

ただ、案件によっては納期が短く早急に対応してもらいたいときも。急ぎのときは一時的に稼働時間を増やすなど、柔軟に対応できることを伝えておくのがオススメです。

なぜフリーランスを続けているのか?

フリーランスというと『時間と場所が自由』という働き方のイメージが浸透していますが、それをそのまま伝えるとあまり印象が良くありません。

この質問に限らずですが、フリーランスは周りから『応援したい』と思ってもらえることが大切です。

周りから応援されるようなフリーランスは、自然と仕事が集まってくるようになるからです。

ちなみに私は、『裁量を自分で決めることができ、頑張り次第でどこまでも収益を伸ばせる働き方に魅力を感じている。自分一人でどこまでいけるのかやってみたい』と前向きな姿勢をアピールしていました。

他の案件の状況は?

現状、まったく案件がとれておらず時間も持て余しているフリーランスの方もいると思います。

まとまった稼働時間をとれるのは大きなメリットですが、案件がないことを正直に言うと制作会社としても『実力が低いのかな?』と少し不安になります。

なので『抱えていた案件が直近リリース予定なので、今後は集中的に案件に取り組むことが可能です』と言い方を変えるのがおすすめです。

軽微な修正作業は対応可能か?

ひとつのWebサイトをまるっとお任せすることもありますが、日常的には保守管理を請け負っているサイトの軽微な修正作業などが多くなります。

細々とした複数のタスクに柔軟に対応してもらえるフリーランスは、ディレクター目線でも非常に助かります。

そのとき、毎回1案件○○円のような個別の見積もりをやりとりするのは非効率です。

時間あたり○○円のような契約が可能であれば、伝えておきましょう。

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